■淋病(淋菌感染症)

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■淋病(淋菌感染症)

淋病(淋菌感染症)とは
淋菌感染症は、淋菌を原因菌とする性病・性感染症です。淋菌感染により男性は主に尿道炎を起こし、女性は主に子宮頸管炎を起こします。最近では、東南アジアやアフリカなどの途上国での蔓延が問題化しており、日本でも増加傾向にあります。

特に男性の淋病性尿道炎は、感染から発症までが短く、痛みなどの自覚症状があるため、性病・性感染症全体の蔓延率の指標となります。淋病の感染率の上昇は、すなわち性病全体の感染率の上昇と連動していると推定できます。さらに淋菌が上行性に侵入すると、男性の場合前立腺炎や精巣上体炎を、女性の場合は子宮内膜炎、骨盤内感染(卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎)、腹膜炎、肝周囲炎などを起こし、後遺症として不妊症になることもあります。また、咽頭炎(口腔性交による)、肛門直腸炎(肛門性交による)、結膜炎、分娩時の産道感染による新生児の結膜炎も淋菌感染によって起こり、血中に侵入すると、敗血症、心内膜炎、髄膜炎、関節炎などの全身感染症を起こすこともあります。

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淋菌感染の特徴
淋菌感染の特徴は体温付近以外では発育しにくいので、主に性交やそれに似た行為で感染しますが、まれに膿汁に汚染された指、衣類、器具などとの接触によって感染することもあります。1回の性行為での感染伝播率は約30%と高く、一度感染しても免疫は得られず再感染します。男性では20代後半、女性では20代前半に最も多くの患者がみられ、特に女性の若い世代の感染者が多くみられます。また女性の淋菌感染症とクラミジア感染症は無症状の患者が多いといわれています。

淋菌感染症の感染経路と病態は以下のとおりです。

○女性の場合
性交→子宮頸管炎(→新生児結膜炎)→子宮内膜炎→骨盤内感染(→不妊症・全身的感染症)→腹膜炎・肝周囲炎

○男性の場合
性交→尿道炎→前立腺炎→精巣上体炎(→不妊症) ○性交以外の性行為→咽頭炎・直腸肛門炎

男性の淋菌性尿道炎
男性の淋菌性尿道炎の感染源は、風俗女性が60%でそのうちファッションヘルスでの感染が最も多くみられます。一方、クラミジア感染症では一般女性が感染減となるケースが多くみられます。また性交形態では、膣性交のみの場合より、口腔性交のみの場合の方が多く、クラミジア感染の場合とは逆になります。

男性の淋菌性尿道炎の診断
診断は、尿道分泌物や初尿検体からのグラム染色標本の顕微鏡検査により行われます(白血球の証明および淋菌の検出)。また、検鏡検査では感度が低いため、培養検査や、病原体核酸診断(PCR法、LCR法、DNAプローブ法)が必要となる場合も多くあります。さらに、薬剤耐性淋菌の増加により、治療無効例や再発例では培養・薬剤感受性検査が必要となることがあります。

排尿時の痛み、外尿道口の発赤や膿性尿道分泌物などが主な症状で、潜伏期間は2-7日間です。尿道炎のみでは発熱は認められませんが、精巣上体炎を起こすと発熱、悪寒、戦慄などの全身症状と陰嚢の腫大、痛みが認められます。

男性の淋菌性尿道炎の治療
治療は、薬剤耐性淋菌の増加からそれを考慮した抗菌化学療法(耐性菌のみられないまたは少ない抗生物質の投与)でなされます。経口薬(内服薬)を長期投与するよりも、十分量の薬剤を注射により投与し淋菌を確実に除菌する単回投与療法が推奨されています。これに経口薬が併用され治療が行われます。

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女性の淋菌性子宮頸管炎
女性の淋菌の感染好発部位の最初は子宮頸管炎です。しかし、淋菌性子宮頸管炎では帯下(おりもの)が主症状であり、典型例では粘液性、膿性の分泌物が外子宮口付近に認められるます。

しかし、感染女性の多くは感染の自覚がないことがほとんどです。自覚症状が無いために無治療のためにそのまま放置されることが多く、男性の淋菌感染症の感染源になることが多いので注意が必要です。

女性の淋菌性子宮頸管炎の診断
女性の淋菌性子宮頸管炎は男性と比べ症状が軽く、症状に乏しく、顕微鏡検査の信頼性が低い(女性の子宮頸管からの検体では雑菌の混入があり、淋菌の確認が難しい)ため、培養検査や病原体核酸診断法で淋菌の検出を行う必要があります。また無症候性感染が多く、淋菌により骨盤内炎症を起こすことがあり、淋菌性骨盤内感染症(PID)と呼ばれています。

子宮頸管炎は子宮内、さらには卵管内、腹腔内にまで波及することがあります。このような症状に至っても自覚症状が無い場合もあり、約50%以上に発熱、下腹痛、卵管や卵巣の圧痛が認められるようになります。

このよな卵管炎などは卵管狭窄や卵管閉鎖を引き起こすこともあります。さらにこのような炎症によって卵管が周囲臓器と癒着すると、卵管の蠕動運動が妨げられ、卵の輸送障害もみられ、その結果、不妊症や子宮外妊娠の原因になることもあります。

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女性の淋菌性子宮頸管炎の治療
治療は男性の場合と同様、薬剤耐性淋菌の増加からそれを考慮した抗菌化学療法(耐性菌のみられないまたは少ない抗生物質の投与)で行われます。主な薬剤投与は、経口薬の服用を併用して注射で行ないます。

また、薬剤耐性淋菌の増加は、淋菌感染症で最も大きな問題です。淋菌の薬剤耐性は複数の薬剤に対し存在します。またその薬剤耐性機構にも多くの種類が存在し、これらが同時に認められ多剤耐性となっている点が重要です。現在のところ、保険適用のある淋菌感染症の治療薬剤で、耐性菌が認められていないのは、セフォジジム、スペクチノマイシンの2種類のみです。

薬剤耐性は、薬剤に接触した淋菌の生き残りによって生じることから、治療後の淋菌の陰性化の確認が必須です。しかし、抗菌剤服用終了直後の時点では、一過性の菌量低下での検出不能により、見せかけの陰性を呈し、後に再燃する場合があります。。従って陰性化確認のための淋菌検出は、服薬終了後、潜伏期間に相当する10日間以上の休薬期間をおいたのちに実施されます。

淋病の垂直感染
淋菌感染症の垂直感染は産道感染により起こり、新生児に結膜炎、敗血症、関節炎、髄膜炎、鼻炎、膣炎、尿道炎をおこすことがあります。女性の淋菌感染症は自覚症状に乏しいことがあるので、注意が必要です。

治療は、薬剤耐性淋菌の増加からそれを考慮した抗菌化学療法(耐性菌のみられないまたは少ない抗生物質の投与)でなされます。主な薬剤投与は注射により行ない、経口薬の服用を併用します。

一方、新生児では、淋菌による眼疾患がある場合、あるいは淋菌感染症未治療で分娩に至った場合に、抗菌剤の単回の静脈注射が勧められます。
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